裁き
ある下水清掃人の死体がマンホールの中で発見された。ほどなく、年老いた民謡歌手カンブレが逮捕される。扇動的な歌が、下水清掃人を自殺へと駆り立てたという容疑で、カンブレの裁判が下級裁判所で始まる。理論的で人権を尊重する若手弁護士、100年以上前の法律を持ち出して刑の確定を急ぐ検察官、何とか公正に事を運ぼうとする裁判官、そして偽証をする目撃者や無関心な被害者の未亡人といった証人たち。インドの複雑な社会環境の中で、階級、宗教、言語、民族など、あらゆる面で異なる世界に身を置く人間のそれぞれの私生活と、法廷の中での一つの裁きが多層に重なっていく。