ぶらりぶらぶら物語
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生活必需品を全て身につけ、ぶらりぶらぶら全国を歩く男--その男の名は猪戸純平。だが、彼は乞食でもルンペンでもない。自由業である。初夏のある日、純平は九州八幡の駅前食堂に入った。が、うどんの中に蝿が入っていたので因縁をつけたところ、店の親爺から無銭飲食犯とみられ警察へ突き出された。すると、そこで原爆罹災者と偽り詐欺行脚中の桑田駒子に会い、一緒に釈放された。二人は下関へ出た。その晩、駒子は睡眠薬入り焼酎を純平に振舞って酔い潰し八万円を失敬してドロン。翌朝、驚いた純平が駅へ駈けつけると、武男とマリ子という兄妹を拾う破目になった。無一文のうえに大きな荷物を背負い込んだ純平だが、どうも仕様がない。ある時は乞食に化け、ある時は本能のカケラを満たし、ある時は無茶な乱闘を繰り展げながら、山口、室津、岩国、三原、尾道、倉敷、岡山を通り大阪へ出た。