美術館を手玉にとった男
(C)Purple Parrot Films ©Sam Cullman
アメリカの歴史上、最も特異な贋作画家として知られるマーク・ランディス。彼は30年以上にわたり、15世紀のイコンから、ピカソ、マグリット、ディズニーまで、幅広いスタイルの絵画を模倣し続けてきた。そして自身の贋作を本物の作品と偽り、それらをなぜか無償で美術館などに寄贈してきたのだ。彼は、ある時は神父として、ある時は家族の遺言を果たす人として、様々なキャラクターに扮して各地の美術館を訪れ、数々の贋作を寄贈してきた。それらはとてつもなく精巧で、全米20州46もの美術館で100以上の作品が本物として扱われていた。
そんなある日、当時シンシナティ美術館の学芸員であった、マシュー・レイニンガーが、彼から寄贈された作品群が贋作であるということに気づく。メディアは彼のことを大きく取り上げ、世間はその出来栄えと騙された規模の大きさに騒然とする。FBIも捜査に乗り出すが彼は金銭を一切受け取っていないため、罪には問われなかった。結局、自分の職を捨ててまでランディスの活動を追い贋作活動をやめさせようとするレイニンガーや、美術関係者たちを無視して彼は贋作の寄贈を続けていた。一方彼に興味を持った大学美術館の職員、アーロン・コーワンがあるアイデアを思いつく。それによってランディスの運命も新たに動き出す。