正しく忘れる
(C)Breath
春子は五年前に自殺して死んだ父の今にも死にそうな夢を見た。
一年前のある日、春子は宝くじで大金を当てる。手遅れの大金。それがきっかけで父親への罪悪感に苛まれ、実家を出た。その大金があれば父は自殺しなくてもよかったからだ。
様々なトラウマを持った人達が集まる会「安住の会」に通う春子。そこで出会う知人の中に幸雄がいた。彼は母が苦しみながら病死した現実が忘れられず父ともがき苦しんでいた。幸雄はただ一方通行に過ぎ行く、不条理で沈黙を貫く世の中に鉄槌を下そうと歪んだ正義感から事件を起こし、春子は巻き込まれていく。