ハーメルン
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福島県のある村の廃校に、元校長先生が一人で暮らしていた。しかし、この廃校も解体されることに決まる。校長はもう使われることのないこの校舎を修繕しながら、「消えゆく我が舎」をいとおしむように日々を送っていた。
ある日、かつてこの小学校が廃校となるその日までここで学び、現在は博物館に勤務する野田が、校舎に保管されていた遺跡出土品の調査のためにやってきた。そして野田の恩師・綾子先生は、娘・リツコの介護を受けながら病院で寝たきりの日々を過ごしていた。実は、野田にとってこの学校は「忌まわしい場所」だった。彼は誰にも言えない秘密を抱えていたのだ。しかし校長やリツコとの交流の中、小学校での懐かしい記憶が呼び戻され、徐々に野田の心に変化が訪れる。そして校長の校舎に託する思いにも次第に共感を寄せるようになる。