ROUTE42
伊藤龍也は、工場の夜勤を明けて、恋人の陽子が待つアパートへ急いだ。今の龍也には、陽子の存在が全てだった。
鳥羽でプロポーズし伊勢で結婚の誓いを立てた。幸せの只中にいて、何もかも順調に行くはずだった。陽子を交通事故で失うまでは…。
龍也は、死んだように過ごす日々にも限界を感じ、会社を辞めた。全てを終わりにし、陽子の元へ行こうと思っていた。そんな龍也の前に、陽子と瓜二つの女性、高橋友梨が現れる。
友梨は、死にそうな龍也の顔を見て、熊野を越えて根ノ国へ一緒に行かないかと誘うのだった。根ノ国、死んだ者に会えるという黄泉の国の誘いに、龍也は、抗う事が出来なかった。
龍也は、友梨を乗せ国道42号線を疾走する。