おだやかな日常
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2011年3月11日、東京近郊。同じマンションの別の部屋に住むユカコとサエコ。その日もほかの日と同じ日常が続くはずだった。地震とその後起こる放射能事故がなければ通路で挨拶を交わすだけの二人の人生が、思いもよらぬ形で交錯していくー。福島原発から漏れだす放射能は、ユカコの生活を少しづつ蝕んでいく。日常に入りこんでくる放射能を遮断できない苛立ちと不安は、夫との関係に揺らぎをもたらす。一方、震災直後に別の女性の元へ行ってしまった夫を頼ることもできず、ただ一人、子供を守らなければならないサエコは、娘の通う保育園での放射能事故の対応で徐々に周囲から孤立していく。やがてサエコはその不安からある事件を起こしてしまうのだった…。