武士の一分(いちぶん)
(C)2006「武士の一分」製作委員会
三十石の下級武士である三村新之丞は、剣術を極め、藩校で秀才と言われながらも、現在の務めは毒見役。不本意なお役目と思いながらも、美しく気立てのよい妻・加世や父の代から仕える徳平と平和な日々を送っていた。ある日、新之丞は、藩主の昼食に供された貝の毒にあたった。意識を失い、高熱にうなされたが一命を取り留めた。しかし、新之丞は盲目になってしまったのである。武士としての奉公もかなわず、自ら命を絶とうとするが、加世が思い留まらせるのだった。間もなく、暮らし向きについて、以寧ら親戚たちが問題にしはじめた。そこで、加世は以寧の父から、藩の有力者に口添えを頼みに行けと命じられる。番頭・島田藤弥に相談することにした。しばらくして、新之丞は以寧から、加世が男と一緒に歩いていたという噂を聞かされる。そこで、彼は徳平に加世を尾行させるのだった。徳平の報告は、上士である番頭・島田藤弥と密会しているという。加世を問い詰めると、口添えを頼むために邸宅を訪れた加世に島田は体を要求し、その後も加世をもてあそんだのだと打ち明けた。新之丞は加世に離縁を言い渡した。加世は手早く身の回りの荷物をまとめ、夜の闇に消えて行った。秋になり、新之丞は木刀を手に、剣術の稽古を始める。新之丞は”一分”をかけた戦いをひとり挑むことに心を決めていたのだ。島田は口添えなどしていなかったのだ。加世を弄んだだけだった。そのことを知り、島田の卑怯な振る舞いが許せなかった。そして、新之丞は藩内きっての使い手、島田との”一分”をかけた果し合いに臨むのだった。
- 公開日
- 2006年12月1日(金)
- 監督
- 山田洋次
- 撮影
- 長沼六男
- 音楽
- 冨田勲
- 製作年
- 2006
- 製作国
- 日本
- 上映時間
- 121
- INTRODUCTION
- 日本が誇る巨匠、山田洋次監督。『たそがれ清兵衛』(02)、『隠し剣鬼の爪』(04)と続けて世界各国の映画祭で上映され、高い評価とともに観客の共感を集めた。06年、最新作として登場するのが本作「武士の一分」である。藤沢周平原作・山田時代劇三部作の最後として注目される。主人公である三村新之丞には、スマップの木村拓哉。ウォン・カーウァイ監督『2046』で、カンヌ国際映画祭に参加するなど世界から注目を集めている。献身的な妻・加世には、元宝塚歌劇団主演娘役の檀れい。本作で銀幕デビューとなる。清潔感あふれる可憐さと、しなやかな強さを併せ持づ女性像を好演している。加世をもてあそび、新之丞と対決する番頭・島田藤弥には、歌舞伎役者の坂東三津五郎。新之丞の叔母・以寧役は、『SAYURI』での好演も記憶に新しい桃井かおり。そのほか、笹野高史、緒形拳、小林稔侍など実力派が脇を固めている。スタッフは、撮影・長沼六男、美術・出川三男、音楽・冨田勲、衣裳・黒澤和子など山田組の一流陣が結集した。
- STORY
- 三十石の下級武士である三村新之丞は、剣術を極め、藩校で秀才と言われながらも、現在の務めは毒見役。不本意なお役目と思いながらも、美しく気立てのよい妻・加世や父の代から仕える徳平と平和な日々を送っていた。ある日、新之丞は、藩主の昼食に供された貝の毒にあたった。意識を失い、高熱にうなされたが一命を取り留めた。しかし、新之丞は盲目になってしまったのである。武士としての奉公もかなわず、自ら命を絶とうとするが、加世が思い留まらせるのだった。間もなく、暮らし向きについて、以寧ら親戚たちが問題にしはじめた。そこで、加世は以寧の父から、藩の有力者に口添えを頼みに行けと命じられる。番頭・島田藤弥に相談することにした。しばらくして、新之丞は以寧から、加世が男と一緒に歩いていたという噂を聞かされる。そこで、彼は徳平に加世を尾行させるのだった。徳平の報告は、上士である番頭・島田藤弥と密会しているという。加世を問い詰めると、口添えを頼むために邸宅を訪れた加世に島田は体を要求し、その後も加世をもてあそんだのだと打ち明けた。新之丞は加世に離縁を言い渡した。加世は手早く身の回りの荷物をまとめ、夜の闇に消えて行った。秋になり、新之丞は木刀を手に、剣術の稽古を始める。新之丞は”一分”をかけた戦いをひとり挑むことに心を決めていたのだ。島田は口添えなどしていなかったのだ。加世を弄んだだけだった。そのことを知り、島田の卑怯な振る舞いが許せなかった。そして、新之丞は藩内きっての使い手、島田との”一分”をかけた果し合いに臨むのだった。
- CASTING
- ●木村拓哉 1972年生まれ。東京都出身。SMAPのメンバーとして活躍。主な出演作はTV/「ロングバケーション」(96)、「ビューティフルライフ」(00)、「HERO」(01)。映画/「2046」(04)、「ハウルの動く城」(04)など。 ●檀れい 1971年生まれ。京都府出身。92年宝塚歌劇雪組公演「この恋は雲の涯まで」で初舞台。03年星組主演娘役に就任。「王家に捧ぐ歌」で第58回文化庁芸術祭演劇部門優秀賞受賞。05年「長崎しぐれ坂/ソウル・オブ・シバ」を最後に退団。本作で映画初出演。 ●桃井かおり 1952年生まれ。東京都出身。71年「あらかじめ失われた恋人たちよ」で映画デビュー。77年「幸福の黄色いハンカチ」で第1回日本アカデミー賞助演女優賞受賞。主な出演作は「青春の蹉跌」(74)、「もう頬づえはつかない」(79)、「東京夜曲」(97)、「SAYURI」(05)など。 ●坂東三津五郎 1956年生まれ。東京都出身。62年「黎明鞍馬山」で五代目板東八十助を襲名し初舞台。01年十代目坂東三津五郎を襲名。主な出演作は舞台/「蘭平物狂「魚屋宗五郎」「勧進帳」。映画「利休」(89)、「写楽」(95)など。
- 配給会社
- 松竹