TAKI183

グラフィティ･アートの多くは、公共物にスプレーで絵を描く、違法行為である。彼らは警察に追われる日々を過ごしている。そんな、グラフィティ･ライターのトミーにはカン、バッタ、吉野山義夫、そしてヲンナの4人の仲間がいた。ある日、彼らは朽ち果てそうなあばら家、通称“スルメ屋敷”の壁に、グラフィティを描いた。完成した直後には、警察によって家の持ち主であるスルメ婆の目の前に引き連れ出されるのだった。しかし、スルメ婆は警察に自分が依頼したといって彼らは解放された。スルメ婆から、自分に対する哀れみの感情を感じたトミーは、突然描くことの意味を考え始める。そうするうちに、仲間たちは去っていった。2年後、トミーは薬局などのチラシをデザインしていたが、そこにはアーティスティックな仕事が求められる事は無く、彼のすべては行き詰っていた。そんな時、ルメ屋敷の取り壊しを知った。彼は何かに突き動かされるように、スプレーと脚立を抱え、スルメ屋敷へと向かうのだった。スルメ屋敷には、まるでトミーがやって来る事を知っていたかのように、ヲンナは座り込んで彼を待っていた。すると、次第に他の仲間たちも次々と集まってくる。この2年間、それぞれが、それぞれの人生を生きていた。朝にはスルメ屋敷が取り壊される。それまでに彼らは何を描くのだろうか。