風の前奏曲
19世紀末。タイがまだシャム王国と呼ばれていた時代、バンコク近郊のアンパワーでソーンは生まれた。父は音楽の師匠であり、地元でも名の知られた伝統楽団を率いていた。当時は王族が楽団のパトロンになり、お抱え楽団同士の競演会が盛んに開催され、タイ音楽のルネサンスと言える全盛期を迎えていた。そんな中、ソーンは幼少の頃から天賦の才を発揮し、木々の葉や、水の流れや、風の音の中にハーモニーを見出し、華麗な手つきでラナートを叩いてはそのハーモニーを自然に奏で、最高のリズムを生み出した。しかし他の流派の策略でラナート奏者の兄を殺害された事件以来、師匠である父にラナートを禁じられてしまう。だが彼の音楽への想いが止むことはない。そして地元で一番のラナートの名手へと成長していった。やがて、父の許しも得て、アンパワー郡長付きの楽団に採用される。だが、競演会で伝説のラナート奏者クンインの名演奏に打ちひしがれる。その後、バンコクの王族の宮廷楽団へと重用されたソーンは、親王直属の楽団との競演会に挑むことになる。その楽団のラナート奏者こそ、かのクンインだった。持てる才能のすべてを燃え立たせ、かつての無垢な修行時代を思い起こし、ソーンの風と大地のハーモニーを取り戻す特訓が始まった。
- 公開日
- 2005年12月3日(土)
- 撮影
- ナタウット・キティクン
- 出演
- アヌチット・サバンボン アドゥン・ドゥンヤラット アラティー・タンマハーブラーン ナロンリット・トーサガー ポンパット・ワチラバンジョン プワリット・プンプアン スメット・オンアード
- 製作年
- 2004
- 製作国
- タイ
- 原題
- THE OVERTURE
- 上映時間
- 106
- INTRODUCTION
- 「マッハ!」などでハリウッドに進出したタイ映画。注目されるタイ映画の中で、04年最も観客に感銘を与えたと言われるのが本作である。伝統楽器を習い始める若者が急増するなど、タイの社会現象にまでなった。タクシン首相も映画館に足を運び、王族たちは先を争つて劇場を借り切り観賞したという。そして各国の大使夫妻を招待して、政府主催の特別上映会までが開かれたのである。監督は本作が10年ぶりで、2本目となるイッティスーントーン・ウィチャイラック。主役のソーン師を演じたアドゥン・ドゥンヤラットは、タイ映画・演劇界の重鎮。青年時代のソーンには、2002年のタイNo.1ヒット作「メコンフルムーンパーティー」鮮烈な銀幕デビューを飾り、香港のレスリー・チャンの再来といわれる新進スター、アヌチット・サパンポンが抜擢された。2作目の出演作にあたる本作では、ラナートの特訓を積んで撮影に臨み、迫真の演奏シーンを演じて幅広い層の観客の感動を誘った。また、伝説のラナート奏者クンインに扮したのは、ナロンリット・トーサガー。本物の現代ラナートのマエストロである。実生活でも代々伝わる由緒正しいラナート奏者で、その強烈なキャラクターから本作公開後は役名で国民に呼ばれるなど、一躍時の人となった。また、王記念庭園を中心に各地でロケを行い、撮影地はツアーが組まれるほどの人気となった。
- STORY
- 19世紀末。タイがまだシャム王国と呼ばれていた時代、バンコク近郊のアンパワーでソーンは生まれた。父は音楽の師匠であり、地元でも名の知られた伝統楽団を率いていた。当時は王族が楽団のパトロンになり、お抱え楽団同士の競演会が盛んに開催され、タイ音楽のルネサンスと言える全盛期を迎えていた。そんな中、ソーンは幼少の頃から天賦の才を発揮し、木々の葉や、水の流れや、風の音の中にハーモニーを見出し、華麗な手つきでラナートを叩いてはそのハーモニーを自然に奏で、最高のリズムを生み出した。しかし他の流派の策略でラナート奏者の兄を殺害された事件以来、師匠である父にラナートを禁じられてしまう。だが彼の音楽への想いが止むことはない。そして地元で一番のラナートの名手へと成長していった。やがて、父の許しも得て、アンパワー郡長付きの楽団に採用される。だが、競演会で伝説のラナート奏者クンインの名演奏に打ちひしがれる。その後、バンコクの王族の宮廷楽団へと重用されたソーンは、親王直属の楽団との競演会に挑むことになる。その楽団のラナート奏者こそ、かのクンインだった。持てる才能のすべてを燃え立たせ、かつての無垢な修行時代を思い起こし、ソーンの風と大地のハーモニーを取り戻す特訓が始まった。
- CASTING
- ●アヌチット・サパンポン タイの人気歌手タタ・ヤンなどのダンサーとして活躍。03年バンコク国際映画祭コンペティション部門ゴールデン・キンナリー賞にノミネートされた「メコン・フルムーン・パーティ」で映画初主演。本作は2本目の主演作となる。 ●アドゥン・ドゥンヤラット タイ古典映画で活躍するベテラン俳優であり監督でもある。タイ国芸能記者協会監督賞受賞。現在70才を過ぎて現役で活躍している。 ●アラティー・タンマハープラーン CM出演から芸能界へ。携帯電話会社など一流企業のCMに多数出演。若手人気歌手のミュージックビデオにも出演している。 ●ナロンリット・卜一サガー ラナートの巨匠。タイ伝統音楽の師。バンド「Boy Thai Band」の設立メンバー。世界中で演奏活動を展開している。日本では04年にタイフードフェスティバルで演奏を披露した。 ●ポンパット・ワチラバンジョン 20年以上も役者経験を持つベテラン。主な出演作は「ワン・ナイト・ハズバンド」、「ヘブンズ7」など。 ●プワリット・プンプアン 1995年モデルコンテストをきっかけに役者のキャリアを積む。ミュージックビデオやCMへの出演、連続ドラマでは主演を演じた。「OK Bay tong」で映画デビュー。本作が2本目となる。
- 配給会社
- 東宝東和