メリンダとメリンダ

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街角のカフェで、劇作家たちが談笑している。一人は喜劇が、もう一人は悲劇が得意なフィールドになっているらしい。その時、もう一人の男が、あるシチュエーションを提案する。それをベースに、もし喜劇にするなら、悲劇なら、という二通りの物語がオーバーラップしながら語られていく。こういうシチュエーション・ムービーは複数のストーリーを並行して展開させていくため、どうしても話が輻輳して、ときとして混乱してしまうことさえある。そのためには構成力と編集の力がとても重要だと思う。「スライディング・ドア」(1997)や最近の「バタフライ・エフェクト」のように、緻密に計算されつくした演出があってこそ、優れたエンタテインメントになり得る。この難しい命題に挑んだウディ・アレンは、二人の劇作家という狂言回しの役を設定し、時々彼らを登場させることで話のメリハリをはっきりさせ、ストーリー全体をスッキリとまとめ上げた。さすがと言うべきだろう。さらに彼の持ち味の洗練されたユーモアも存分にちりばめて、一級作品に仕上げきった。ウディ健在。見応え充分。

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