河と死
流血と死で彩られる町サンタ・マリアナ。かつての大洪水の後、町は墓地を残し対岸に引っ越し、孫子の代まで及ぶ復讐を当り前とする、この因習深き土地に、更に奇妙な風習が生まれた。復讐を果たした犯人も河を泳いで墓地のある側に渡れば、公的にはそれで赦免となるのだ。そして、その後に被害者の亡骸が黒い舟に乗せられ河を渡る。いずれにせよ、河を渡る行為は生死に関わることだった。都会の医師へラルドは半身不随で寝たきりだったが(カプセル状の不思議な機械の中で拘束状態)、ある日、初めて会う男ロムロに脅される。彼は幼い頃に殺された父ポロの恨みを、父を殺したフェリペの息子であるヘラルドを討って晴らそうと言うのだ。だが、都会で育ったヘラルドには父母の故郷のその悪しき習わしが全く理解できない。彼は看護につく恋人エルザに父とポロ、両家のいざこざについて語って聞かせる。ともかく、ヘラルドにとって祖父で母の父、町のまとめ役ティメジオが病死し、その遺言でポロもフェリペも一旦は和解するのだが、ポロの血気盛んな弟のせいで、三者相撃ちして果てる。そして、その報復はそれぞれの息子に託されたのだが……。