ふくろう

(C)2003 株式会社近代映画協会
東北の開拓村。ここには、当初20家族が入植したが、不毛な土地の開拓は容易ではなく、つぎつぎと村を離れていった。最後に残ったのは38歳の母と17歳の娘だけだった。この母の両親は、国策にのって満州開拓民となり、敗戦によって引揚げてきた。渡満の時に故郷の土地を売り払っていたので、帰る土地がなく僻地の開拓地に入植したのだった。両親は苛酷な労働で飢えて死んだ。20歳になっていた娘は結婚したが、亭主は都会へ出稼ぎに出たまま姿を消した。こうして、廃墟となった村に女二人が残ったのである。開拓村の山の向こうにダムの建設がはじまり、ここで働く者たちがくるようになった。県の引揚援護課の役人も、麓の警察の巡査もやってきた。しかし、この家を訪れた人たちは、みなどこかへ姿を消すという不思議な事件が起こった。そして、母と娘の姿も消えた。一年後、飢えた熊が迷いこんできて、人間の骨をくわえだし、警察の知るところとなり、九体の人骨が堀り出されたが、誰が、なぜ、やったのかわからなかった。ただ、森に棲んでいる梟だけが、謎の殺人事件の一部始終を見ていたのだ。
公開日
2004年2月7日(土)
監督
新藤兼人
脚本
新藤兼人 新藤兼人
撮影
三宅義行
音楽
林光
出演
大竹しのぶ 伊藤歩 木場勝己 柄本明 原田大二郎 六平直政 魁三太郎 田口トモロヲ 池内万作 蟹江一平 大地泰仁 塩野谷正幸 江角英明 加地健太郎 上田耕一 松重豊 松波寛
製作年
2003
製作国
日本
上映時間
119
INTRODUCTION
創立五十二周年を迎える、近代映画協会の記念作品。本作は、90才の監督・新藤兼人が長年構想してきた作品である。戦後の「開拓村」という舞台で国策に翻弄された庶民、母と娘が過酷な現実をいかに生き抜いていったかを描いている作品だ。主役の母親役に、大竹しのぶ、娘役には伊藤歩が抜擢されている。そのほか、故伊丹十三の息子の池内万作、蟹江敬三の息子の蟹江一平、大地泰仁、原田大二郎、木場勝己、柄本明、塩野谷正幸、六平直政、田口トモロヲなど、個性豊かな俳優陣が力強い演技を魅せてくれる。また、スタッフは製作・新藤次郎、撮影・三宅義行、照明・山下博、音楽・林光、録音・武進のいつもの新藤スタッフ、美術を新藤監督自身が取組んでいる。
STORY
東北の開拓村。ここには、当初20家族が入植したが、不毛な土地の開拓は容易ではなく、つぎつぎと村を離れていった。最後に残ったのは38歳の母と17歳の娘だけだった。この母の両親は、国策にのって満州開拓民となり、敗戦によって引揚げてきた。渡満の時に故郷の土地を売り払っていたので、帰る土地がなく僻地の開拓地に入植したのだった。両親は苛酷な労働で飢えて死んだ。20歳になっていた娘は結婚したが、亭主は都会へ出稼ぎに出たまま姿を消した。こうして、廃墟となった村に女二人が残ったのである。開拓村の山の向こうにダムの建設がはじまり、ここで働く者たちがくるようになった。県の引揚援護課の役人も、麓の警察の巡査もやってきた。しかし、この家を訪れた人たちは、みなどこかへ姿を消すという不思議な事件が起こった。そして、母と娘の姿も消えた。一年後、飢えた熊が迷いこんできて、人間の骨をくわえだし、警察の知るところとなり、九体の人骨が堀り出されたが、誰が、なぜ、やったのかわからなかった。ただ、森に棲んでいる梟だけが、謎の殺人事件の一部始終を見ていたのだ。
CASTING
●大竹しのぶ(母・ユミエ) 1957年7月17日生。東京都出身。主な出演作は、映画 /「死んでもいい」(93)、「学校3」(98)、「生きたい」「黒い家」「鉄道員ぽっぽや」(99)〈第23回日本アカデミー賞主演女優賞〉 「GO」(01)、「ふくろう」(03)〈第25回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞〉舞台/「奇跡の人」(97~)「売り言葉」「欲望という名の電車」「太鼓たたいて笛ふいて」「マクベス」(02)、第37回紀伊国屋演劇賞個人賞、第2回朝日舞台芸術賞、第10回読売演劇大賞・最優秀女優賞および大賞受賞。 ●柄本明 194811月3日生まれ。76年、「東京乾電池」を結成。主な出演作は、「下落合焼鳥ムービー」(79)、「カンゾー先生」(98)<日本アカデミー賞主演男優賞他多数の賞を獲得>、「ヒポクラテスたち」(80)、「セーラー服と機関銃」(81)、「二代目はクリスチャン」(85)、「Shall we ダンス?」(96)、「うなぎ」(96)、「座頭市」(03)、「解夏」(04)など。
映倫
99

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