嗤う伊右衛門

(C)2003「嗤う伊右衛門」製作委員会
境野伊右衛門は、物静かな性格で、家の修繕等を黙々とこなすことを好むような男であった。切腹を命ぜられた父親の介錯をした後、彼は浪人に身を落とした。表面上はその境遇に嘆くことはなかった。すでに世を捨てたような覇気のない人物ではあったが、その生真面目さは周囲の人々には好感をもって迎え入れられていた。民谷岩は凛として、正しさを失わない、町で評判の美しい女であった。ある時、岩は悪い病を患い、片側の顔が崩れてしまう。しかし、まったく動じることなく、今まで通りに誇りを失わずに凛としている。そんな岩を、周りにいる人々はますます避けるようになる。伊右衛門は、御行乞食の又市(香川照之)に民谷家への婿入り話を持ちかけられ、岩と夫婦となる。当初は互いの心がわからず、理解しあえずにいた。そのうち、次第に深く愛しあうようになっていく。筆頭与力・伊東喜兵衛(椎名桔平)は、岩の顔が崩れる前に執拗に岩を求めていた男で、伊右衛門と岩の仲が睦まじいことが面白くなかった。そこで、喜兵衛は策略によって伊右衛門と岩の絆を引き裂いていく。岩はただひたすら伊右衛門の幸福だけを願いつつ、民谷の家を出るのであった。岩と別離した伊右衛門は喜兵衛にお梅という女をあてがわれ、民谷家で暮らしていた。お梅は喜兵衛の愛人。喜兵衛は伊右衛門にお梅を押し付けた後も民谷の家に通いつめていた。岩は伊右衛門の不幸を知り、怒りと悲しみで正気を保てなくなる。岩との愛を貫くべく、伊右衛門は一命を賭してある行動に出た。
公開日
2004年2月7日(土)
監督
蜷川幸雄
脚本
筒井ともみ 京極夏彦
撮影
藤石修
音楽
宇崎竜童
出演
唐沢寿明 小雪 香川照之 池内博之 椎名桔平 六平直政 井川比佐志 松尾玲央 藤村志保
製作年
2003
製作国
日本
上映時間
128
INTRODUCTION
心の底で激しく互いを求め合いながら、悲しい運命に引き裂かれていく「伊右衛門」と「岩」。そして、二人をとりまく情念の世界に生きる偏愛者たち。映画「嗤う伊右衛門」は、愛と憎、美と醜、正気と狂気が絡み合いながら「究極のエロチシズム」を描く愛と激情の物語である。ここに日本映画史上最も美しい「岩」が生まれるのだ。これは、江戸時代の怪談文芸の継承者たることを、自他ともに認める京極夏彦が、「岩」の怨念による惨劇を描いた古典的名作である「四谷怪談」を、斬新な視点と独自の文体で全く新しい究極の純愛物語に再創造した原作。それを、世界的演出家・蜷川幸雄が演出力の全てをかけて映画化したのである。
STORY
境野伊右衛門(唐沢寿明)は、物静かな性格で、家の修繕等を黙々とこなすことを好むような男であった。切腹を命ぜられた父親の介錯をした後、彼は浪人に身を落とした。表面上はその境遇に嘆くことはなかった。すでに世を捨てたような覇気のない人物ではあったが、その生真面目さは周囲の人々には好感をもって迎え入れられていた。民谷岩(小雪)は凛として、正しさを失わない、町で評判の美しい女であった。ある時、岩は悪い病を患い、片側の顔が崩れてしまう。しかし、まったく動じることなく、今まで通りに誇りを失わずに凛としている。そんな岩を、周りにいる人々はますます避けるようになる。伊右衛門は、御行乞食の又市(香川照之)に民谷家への婿入り話を持ちかけられ、岩と夫婦となる。当初は互いの心がわからず、理解しあえずにいた。そのうち、次第に深く愛しあうようになっていく。筆頭与力・伊東喜兵衛(椎名桔平)は、岩の顔が崩れる前に執拗に岩を求めていた男で、伊右衛門と岩の仲が睦まじいことが面白くなかった。そこで、喜兵衛は策略によって伊右衛門と岩の絆を引き裂いていく。岩はただひたすら伊右衛門の幸福だけを願いつつ、民谷の家を出るのであった。岩と別離した伊右衛門は喜兵衛にお梅という女をあてがわれ、民谷家で暮らしていた。お梅は喜兵衛の愛人。喜兵衛は伊右衛門にお梅を押し付けた後も民谷の家に通いつめていた。岩は伊右衛門の不幸を知り、怒りと悲しみで正気を保てなくなる。岩との愛を貫くべく、伊右衛門は一命を賭してある行動に出た。
CASTING
●唐沢寿明(民谷伊右衛門) 1963年生まれ。東京都出身。87年、「ボーイズレビュー・ステイゴールド」で舞台デビュー。主な出演作は、「おいしい結婚」(91)、「ラジオの時間」(97)、「みんなのいえ」(01)など。テレビでは「愛という名の下に」(92)、「利家とまつ」など多数。 ●小雪(民谷岩) 1976年生まれ。神奈川県出身。95年、雑誌「non-no」のモデルで活躍。2000年、「ケイゾク」で映画デビュー。主な出演作は「ランドリー」(02)、「ラストサムライ」(03)など。テレビは「真夜中は別の顔」(02)、「君はペット」(03)など多数。 ●香川照之(又市) 1965年生まれ。東京都出身。89年、「六本木バナナボーイ」で映画デビュー。「独立少年合唱団(00)、「鬼が来た」(02)、「赤い月」(04)など。第43回ブルーリボン賞助演男優賞など多数受賞。 ●池内博之(直助) 1976年生まれ。97年、「ドリームスタジアム」で映画デビュー。主な出演作は「BLUES HARP」(98)、「スペーストラベラーズ」(00)、「GTO」(98)、「天国に一番近い男」(99)など。 ●椎名桔平(伊藤喜兵衛) 1964年生まれ。三重県出身。93年、「ヌードの夜」で注目され、99年の「金融腐食列島呪縛」で第23回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。主な出演作は「新宿黒社会」(95)、「ブラックアウト」(95)など。
配給会社
東宝

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