くたばれ!ハリウッド
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ロバート・エヴァンズは20歳のとき俳優志願としてパラマウントの門をくぐった。そこで見たものは、ビリー・ワイルダーが『サンセット大通り』を演出していた。今では神話となった映画の撮影風景だった。それから10数年後、再びエヴァンズがパラマウントの門をくぐったとき、彼は俳優ではなく、撮影所のトップとなっていた。そしてプロデューサーがスターよりもマスコミの注目を集めることになった。それは彼が30才という異例の若さだったからだ。だれもが彼にほれ込み、当時数多くのハリウッドの女性たちと関係していたウォーレン・ビーティ、ジャック・ニコルソン、ロマン・ポランスキーが一目置いていた。当時消滅の危機にあったパラマウント映画を、『ローズマリーの赤ちゃん』、『ある愛の詩』、『ゴッドファーザー』などのプロデュースを通じてトップに押し上げたのだ。それだけではない、先の見えない袋小路にあったハリウッド映画のイメージをゴージャスで正統なものに戻したのだ。エヴァンズはのちに自伝「くたばれ!ハリウッド」を書く。それがこのドキュメンタリーの原作。三流役者が、プロデューサーにあこがれ、あっという間にのしあがっていくアメリカン・ドリーム。しかし、それは神経をすり減らすギャンブル人生と言える。エヴァンズが成り上がったのは、まだ1本も映画をプロデュースしたことのない彼をパラマウントの製作のトップに据える決定を下したガルフ&ウェスタン社主、プロデューサー・デビューに手をさしのべてくれた、アラン・ドロンとの交流とか、国務をとりしきったヘンリー・キッシンジャーなど、大物を転がしながら、のし上がっていく才能は超一流だったのだ。
- 公開日
- 2003年9月20日(土)
- 脚本
- ブレット・モーゲン
- 撮影
- ジョン・ベイリー
- 音楽
- ジェフ・ダナ
- 出演
- (ドキュメンタリー)
- 製作年
- 2002
- 製作国
- 米
- 原題
- THE KID STAYS IN THE PICTURE
- 上映時間
- 93
- INTRODUCTION
- 1970年代のハリウッド映画界。これまでの古いシステムが変わりつつある時代に、キラ星のごとく現れて映画製作を大きく変えてしまった男がいた。その名は、ロバート・エヴァンズ。30代でパラマウントのプロデューサーとなり、『ゴッドファーザー』や『ある愛の詩』といった名作を次々と製作していった。しかし、80年代の興行的な失敗やスキャンダルにまみれたが、奇跡的に復活をとげるという壮絶な彼の人生を実話をもとにして描いた作品だ。この映画では主人公が自らの激動の人生を90分間、自分自身で語りおろすという型破りで斬新な構成がとられている。当時の膨大な写真や記録映像をバックにした画面構成、『ゴッドファーザー』の誕生秘話など自身がドラマティックに演じてみせるのだ。この映画の原作は、エヴァンズ自身が94年に発表した自伝「くたばれ!ハリウッド」(文藝春秋社刊)。アメリカでは彼自身が吹きこんだオーディオ・カセット・ブックが話題となった。ヴァニティ・フェア誌の編集長グレイドン・カーターは、エヴァンズの伝記映画を作ろうしていて、若手の実力ドキュメンタリー作家監督ブレット・モーゲン、ナネット・バースタインと今回の映画に着手した。撮影は「恋愛小説家」の名カメラマン、ジョン・ベイリーが担当。すべてのナレーションはエヴァンズ自身によるもの。劇中では超秘蔵映像であるダスティン・ホフマンの貴重な爆笑パフォーマンスのフィルムも見ることができる。ハリウッドの栄光と悲哀が彼の壮大な人生の中で描かれ、見るものを感動へと誘う。
- STORY
- ロバート・エヴァンズは20歳のとき俳優志願としてパラマウントの門をくぐった。そこで見たものは、ビリー・ワイルダーが『サンセット大通り』を演出していた。今では神話となった映画の撮影風景だった。それから10数年後、再びエヴァンズがパラマウントの門をくぐったとき、彼は俳優ではなく、撮影所のトップとなっていた。そしてプロデューサーがスターよりもマスコミの注目を集めることになった。それは彼が30才という異例の若さだったからだ。だれもが彼にほれ込み、当時数多くのハリウッドの女性たちと関係していたウォーレン・ビーティ、ジャック・ニコルソン、ロマン・ポランスキーが一目置いていた。当時消滅の危機にあったパラマウント映画を、『ローズマリーの赤ちゃん』、『ある愛の詩』、『ゴッドファーザー』などのプロデュースを通じてトップに押し上げたのだ。それだけではない、先の見えない袋小路にあったハリウッド映画のイメージをゴージャスで正統なものに戻したのだ。エヴァンズはのちに自伝「くたばれ!ハリウッド」を書く。それがこのドキュメンタリーの原作。三流役者が、プロデューサーにあこがれ、あっという間にのしあがっていくアメリカン・ドリーム。しかし、それは神経をすり減らすギャンブル人生と言える。エヴァンズが成り上がったのは、まだ1本も映画をプロデュースしたことのない彼をパラマウントの製作のトップに据える決定を下したガルフ&ウェスタン社主、プロデューサー・デビューに手をさしのべてくれた、アラン・ドロンとの交流とか、国務をとりしきったヘンリー・キッシンジャーなど、大物を転がしながら、のし上がっていく才能は超一流だったのだ。
- CASTING
- ●ナネット・バースタイン 1996年にケーブルエース脚本賞を受賞。その翌年、劇作家のリチャード・フォアマンについてのPBS特別番組制作により、エミー賞を獲得した。 ●ブレット・モーゲン オリヴァー・ノースの1994年ドキュメンタリー『Ollie's Army』(96)を手がけている。これはサンフランシスコ映画祭、IDA、UFVA、テレビ芸術科学アカデミーから表彰を受けた。また、PBSの26回に渡るミュージカル・シリーズ『On Tour』を監督している。 ●グレイドン・カーター 1992年7月からヴァニティ・フェア誌の編集者。全国雑誌賞を受賞し、2000年には写真と戦争報道部門で2つの全国雑誌賞を受ける。1997年にアドウィーク・マガジン、1996年にはアドバタイジング・エイジのエディター・オブ・ザ・イヤーにそれぞれ選ばれている ●ケイト・ドライヴァー 『SLOW BURN 伝説のダイヤモンド』(未)(00/クリスチャン・フォード監督)、『Uncorked(Higher Love, At Satchem Farm(改題)』(98/ジョン・ハドルス監督)、『ビューティフル』(00/サリー・フィールド監督)などの長篇映画や、短篇映画『The Upgrade』(00/ビル・ロビンソン監督)などを製作した。 ●クリス・ギャレット 1992年に編集主幹としてヴァニティ・フェアに入った。それ以前はイギリス高級紙インディペンデントの雑誌部門の編集主幹を務めていた。その後、雑誌の世界に入り、ライター、編集者、さまざまな出版物のストーリー・プロデューサー、タトラーとコンデナスト・トラベラー両誌の編集主幹などを歴任してきた。 ●サラ・マークス 1988年にフリーランスとなり、写真撮影、コマーシャル、そしてビデオのデザイン及びキャスティングやロンドンのウェンブリー・アリーナでネルソン・マンデラのような有名人が参加するイベントを手がけた。最近の10年はニューヨークを拠点にし、ヴァニティ・フェアに関わってきた。 ●ジョン・ベイリー A.S.C.(アメリカ撮影監督協会)の役員であり、映画芸術科学アカデミーの理事も務めている。50本におよぶ映画の撮影監督を務めており、主な作品に『普通の人々』(80)、『ザ・シークレット・サービス』(93)、『恋愛小説家』(97)、『ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密』(02)、『10日間で男を上手にフル方法』(03)などがある。