運転手の恋

台北の街で、タクシー運転手をしているアチュアン。彼は、金の無い乗客に金を貸してしまうほど人が良く、新車をアディと名付けるほど愛し、車を運転することが大好き。恋愛などまるで関心がない。彼の父親はタクシー会社を経営している。30年の間、1日も運転を欠かしたことがなく、運転をすることが何よりもの生きがいだ。母親は法医学者。こちらも変わっている。死体の検死が仕事で、ホルマリン漬けが趣味である。また爆発を繰り返す実験マニアの妹や、パラパラ死体を収拾して小遣い稼ぎをする隣人など、運転手仲間にも変わった人たちばかり。妹がめでたく結婚した日、アチュアンは、「僕は結婚はしない」と両親に宣言した。それを聞いた父親は親不孝者と怒り、母親は仕事も手につかなくなってしまう。なんとか女性に興味を持たせようと父親はアダルトビデオまでも借りてくる始末。ある日、取締りをしていた婚人警官ジンウェンにスピード違反で違反切符を切られる。それが運命の出会いだった。ジンウェンに一目ぼれしてしまったアチュアンは自分を彼女に印象付けるため、そして彼女の顔を見るためにあの手この手で交通違反を繰り返す。アチュアンが恋をしていることに大喜びの両親は、ジンウェンの気を引くために勤務表を手に入れたり、恋のアドバイスしたり息子の恋愛をあれこれ手助けする。何度も交通違反を繰り返すアチュアンにとうとう根負けした彼女は、そっと違反切符とともに自分の電話番号を手渡すのだった。