戦ひの前夜

ツーロンの軍港は久しぶりに入港したフランス地中海艦隊を迎えて賑わっていた。その中の一隻、巡洋艦アルマに乗務を命ぜられた海軍大尉ダルテルは、アルマの艦長が父の親友たるドゥ・コルレイ大佐であることを心から喜んでいた。大佐もダルテルがインドシナから転勤して、己が部下となったのを満足に思った。その夜、アルマの艦上では賑やかにレセプションが催され、美しい夫人令嬢を迎えて、将校達はダンスに、酒盃に、打興じた。

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