修羅
塩治の浪人薩摩源五兵衛は、主君仇討に参加しようと、敵の眼をあざむくため酒色におぼれているように見せかけていたが、芸者小万に対する執心はそれ以上のものがあった。小万もまた腕に「五大力」をほる程に源五兵衛を慕っているかのように見えた。源五兵衛の苦悩は、仇討ちに加わるための御用金として必要な百両が調達できないことにあったが、このことを我がことのように感じている忠僕八右衛門が、四苦八苦の末ようやく金の工面をして戻って来た。源五兵衛は、自分のふしだらを恥じ、改めて義士連判に加わる決意を新たにした。