11×14
ベニング初の長編映画である『11×14』(印画紙の寸法)は、その前に撮られた短編映画『8 1/2×11』(タイプ用紙の寸法)の発展形で、生まれ育ったミルウォーキーやシカゴの町やその郊外、高架鉄道や高速道路といった、主にフィックスで撮られた66の風景(ショット間には黒味が挟まれる)からなる「構造映画」。カラの風景ではなく、人々が、それも同じ人物が何度か別の場面で登場することで、そこにある種の物語を読み取ることもできるかもしれない。ガソリンスタンドやビルボードのショットが多いのは、現代美術家エド・ルシェへの目配せか。二度流れる曲は、ボブ・ディランの「ブラック・ダイアモンド湾」。