社会の何処にも居場所のなくなってしまった9歳の少女を繊細かつ強烈な描写で描き、ベルリン国際映画祭やドイツ映画賞など世界各国で37冠に輝いたノラ・フィングシャイト監督の長編初監督作品『システム・クラッシャー』。公開を記念してヘレナ・ツェンゲルをフィーチャーした日本だけの特別映像、ならびにヘレナについて監督が語ったコメントが解禁された。
解禁となった特別映像は、撮影当時10歳で本作の主人公ベニーを演じ、史上最年少で2020年ドイツ映画賞の主演女優賞をかっさらった天才ヘレナ・ツェンゲルをフィーチャーしたもの。2008年生まれ、現在15歳の彼女。出演シーンの大半が全身全霊の慟哭で周囲を絶望に追い込むという強烈な役どころ。悲しげな青い目で愛情を切望するかと思えば、一瞬で自信に満ちた小さなサタンのような目となる。叫び、悪態をつき、制御が効かない女の子に変貌して様々な感情の幅を演じ切った。
本作の出演後、名優トム・ハンクス主演作『この茫漠たる荒野で』(20/Netflix)に孤児役で出演し、早々にハリウッド映画デビューを遂げ、第78回ゴールデン・グローブ賞の助演女優賞にもノミネートされた。
さらにA24製作の『The Legend of Ochi(原題)』ではウィレム・デフォー、エミリー・ワトソンと共演が決定しており、バラエティ誌の「注目すべき俳優リスト10人」や、ハリウッド・レポーター誌の「注目すべきヨーロッパの才能リスト10人」にも選ばれ、その恐るべき演技力は世界的にも注目となっている。
そんな彼女について、監督のノラ・フィングシャイトはこう語る。
“彼女は、凶暴な凶暴性から絶望的な弱さまで、むち打つようなスピードで演じ分けます。彼女は、叫んだり縛られたりするような最も激しいシーンを演じていても、「5分休憩!」と伝えると廊下を歌いながら遊びにいってしまうのです。彼女は役割のオン・オフを切り替えることができます。他の俳優たちもヘレナから学びました。非暴力トレーナーのミヒャを演じたアルブレヒト・シュッフは、常に役柄のままでいることを望むメソッド俳優ですが、ヘレナの影響で数日後には休憩中はリラックスし始めました。撮影後に夕食で会ったとき、彼はこう言いました。「ベニーとの激戦から私が何を学んだか知っていますか?休憩中は役柄を演じる必要はないということです」と。はっきり言って、大人は考え過ぎですね(笑)。共演者たちはヘレナの激しいエネルギーに後押しされ、素晴らしい化学反応を起こしました。彼女は周りに強烈な影響を及ぼしたのです。観客は少しずつベニーを好きになっていくと思います。最初は常軌を逸していて奇妙で馬鹿馬鹿しいと思えていたとしても、彼女の無垢なる魅力を理解するからです”
■『システム・クラッシャー』特別映像
今回解禁となった特別映像でも、その天才の片鱗が多数感じられるものとなっている。
2024年4月27日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
『システム・クラッシャー』特別映像&監督コメント解禁!
© 2019 kineo Filmproduktion Peter Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG (haftungsbeschränkt), ZDF
4月19日(金)