ケリー・ライカート監督作『First Cow』(原題)の邦題を『ファースト・カウ』として、12/22(金)より公開されることが決定した。
現代アメリカ映画の最重要作家と評され、今世界中で最も高い評価を受けている監督のひとりであるケリー・ライカート監督。1964年、フロリダ州マイアミで生まれた彼女は、1994年の『リバー・オブ・グラス』でデビュー。その後長らく、日本で彼女の作品を観られる機会は限られていたが、2021年にケリー・ライカート監督特集上映が行われると、その作品性の高さから異例の満席回が続出し、大きな話題に。そんな、全映画ファンが愛してやまないケリー・ライカート監督の作品がついに、日本の劇場で初公開される。
物語の舞台は西部開拓時代のオレゴン州。アメリカン・ドリームを求めて未開の地にやってきた料理人のクッキーと、中国人移民のキング・ルー。共に成功を夢見る2人は自然と意気投合し、やがてある大胆な計画を思いつく。それは、この地に初めてやってきた“富の象徴”である牛からミルクを盗み、ドーナツで一攫千金を狙うという、甘い甘いビジネスだったー!
原作は、これまでケリー・ライカート作品の脚本を多数手がけてきたジョナサン・レイモンドの小説「The Half-Life」(2004年発表)。男同士の友情を描いた物語に監督が惚れ込み、映画化を熱望。長年の構想の末、この度ついに実現した。映画の冒頭には、詩人ウィリアム・ブレイクの言葉「鳥には巣、クモには網、人間には友情」が引用され、ドーナツ作りを通して2人の男の間に少しずつ友情が芽生えていく過程を美しく描いたこの物語は、私たちに「友情とは何か」という本質を教えてくれる。さらに、豊かな自然が息づく原風景を切り取ったアメリカンカルチャーを体現した映像美や心地よい音楽が2人の物語を彩り、観客は本作を通して、これまでに見たことのない新しいアメリカを発見するだろう。
本作は、世界の映画祭でお披露目されるやいなや、たちまち絶賛の声が上がり、第70回ベルリン国際映画祭金熊賞にノミネートされたほか、世界中の映画祭で計157部門にノミネート、27部門を受賞。さらに、映画人からの評価も高く、『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督は「私には決して真似のできないものであって、とてつもなく、うらやましい」と、その才能を羨望。他にもジム・ジャームッシュ、トッド・ヘインズ、濱口竜介ら、世界の名だたる監督たちも本作を称賛している。
本国配給を行なったのは、今世界中の映画ファンに最も愛される配給会社A24。今年『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー賞(R)を席巻したことも記憶に新しいが、作家ファーストでありながらオスカー常連で大ヒット作を続々と世に送り出し続けているA24と、独自の視点を追求し一貫したスタイルで映画を撮り続けているケリー・ライカート監督のタッグが初めて実現。ケリー・ライカート監督の最高傑作との呼び声も高い本作が誕生した。
12/22(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国公開